雨と猫。
 
 さめざめとした雨が降り続いている。
 雨はガラス窓をうち、外の様子をぼやかしている。
 天気の悪さもあるのか、もともと立地条件が悪いのか、いつもこの喫茶店は閑古鳥がないている。
「暇……。」
 カウンターで一人の女性がため息をつく。この店を臨時で手伝っているのだが、あまりにも客が来ないので正直辟易していた。
 彼女の名は秋雨。本来は家庭教師のアルバイトをしながら大学に通う普通の女子大生である。
 だが、彼女は基本的に性欲で動いているので、男女構わずにそういった行為に走る、ようするに両刀使い。これまで食べた人数は星の数らしい。 
 彼女のその異常な性癖が具現したのは16歳の夜に妹との出来事がきっかけであるが、その話はまたいつか……。
「カランコロン。」
 入口のドアにとりつけられた鈴がなる。来客を示している。
「いらっしゃいませぇ……。」
 秋雨は早速、客を品定めしようと顔を上げた。
 入ってきた客は全身ずぶぬれ、いまにも泣き崩れそうな顔をしている女の子だった。
「あぅぅ……。」
『あら、かわいいじゃないですか……交渉してみましょうかね。』
 秋雨はいやらしい感情をこめてタオルを持って少女に近づいた。少女は秋雨をぶるぶると見つめるだけで何も言おうとしない。
「大丈夫ですか?そのままじゃ風邪をひいてしまいます。これ、使ってくださいね。」
「あ、どうも……ありがとう、おねえさん。」
 表情の上では無関心を装っているが、このあとどうやって押し倒そうかを考えているのは明白だった。
「温かいものを持ってきますから、腰かけてお待ちくださいね。」
「お言葉に甘えて……。」
 そう言うと少女はテーブル席にちょこんと座り、髪をゴシゴシと拭き始めた。
 
 コーヒーを運ぶ途中に秋雨は隠し持っていた薬をコーヒーに混ぜた。別に害はないが、性欲が高ぶる、いわゆる媚薬である。
「どうぞ。……服がぬれたままでは風邪をひいてしまいますね。着替えを探してきますね。」
 その間にこの少女はコーヒーを飲むだろう。そうすれば、あとは私のおもうがまま……そんなことを思いながら、秋雨は自分の予備の服を部屋から運んできた。
 案の定、コーヒーに口をつけた少女はうつろな目でぼんやりとしていた。
「お、おねえさん……僕……なんだかへんだよ?体が熱くて……。」
「それはいけませんね。風邪を引く前に着替えませんと。」
「体に力が……。」
「私が脱がしてあげますよ?」
 少女の服に手をかけ、ボタンを一つ一つ外し始める。
「おねえさん!ここ、お店だよ!?見つかったらまずいんじゃないかな?」
 日に二人も客は来ない喫茶店だ。どうせ客なんて来ない。
「大丈夫ですよ。おねえさんに任せてください。」
 上を脱がし、少女の未発達な乳房と白い肌があらわになる。
「はぅ……。」
「ズボンもびしょ濡れですね?脱がしてあげます。」
「ず、ズボンはいいよ!!」
 秋雨はそんな静止など聞かずに少女のズボンを下着ごと下げた。秋雨はそこに驚くべきものを見つけた。
「あぅ!」
「あら……あなた、男の子でしたか。」
 そこにあったのは小さいながらも天を向く陰茎だった。すでに血が巡り、固くなっている。
「ふふ……この様子だと、おねえさんが処理しないとダメみたいね?体もあっためてあげないといけませんしね。」
「ふぁ……おねえさん……。」
「秋雨って呼んでください?あなたの名前も教えてくれると嬉しいんですが。」
 少女……いや、少年は少し考えた後ぽつりと言った。
「……シアン。」
「シアンくん?いい名前ですね。」
「シアンでいいよ。」
「じゃあ、シアン。いまから私とすることがどんなことだか想像つく?」
 シアンは顔を真っ赤にして俯いた。
「ご主人さま……ごめんなさい。」
「誰のことですか?私じゃないのはたしかですよね?」
 シアンはこくこくと頷いた。
「もう、いいですよね?」
 秋雨は自分の上を脱ぎ、シアンの前に跪くような姿勢をとった。
「秋雨さん……?」
「いろいろ教えてあげますね。まずは……。」
 そうつぶやくと秋雨はあらわになった自分の両乳房にシアンの陰茎を挟み込んだ。
「ふぁっ!?」
「ぁん……いいぐあいに硬くなってますね。」
 秋雨はそのまま、陰茎をこするように乳房を動かした。
「うぅ!ぅぁ!!あぁ!!」
「どうです?これが『パイズリ』ってやつです?気持ちいいですか?」
 上下運動を繰り返し続けるとやがてじゅくじゅくと言った音がし始めた。シアンの陰茎より分泌された液が音を立て始めたのだ。
「ふふふ……次の段階にうつりますか?それともこのまま出しますか?」
 秋雨はどちらでも構わないといった顔でシアンを見上げる。シアンは自分の陰茎に与えられる快感で、一種の麻痺のようなものを起こしていた。間違いなくエクスタシーに至る一歩手前である。
「あぅ……ふぅ……ひぃ……。」
 びゅる!!という音がした。シアンが射精した音である。シアンの陰茎から迸った精子はそのまま秋雨の顔にまんべんなく降りかかった。
「あ!ごめん、秋雨さん!!気持ちよくって、つい……ごめんなさい!!」
 顔についた精液を舐めとりながら秋雨はにやりと微笑んだ。
「ふふっ……そうですか?もっと気持ちよくなる方法……やってみます?」
 ここでシアンは迷った。自分の初めて(一体なんの初めてなのかは不明)はご主人さまに捧げると決めていたからだ。
「あなたは男の子、ご主人さまも男でしょう?だったらあなたがいれることはできないでしょう?」
「でも……。」
「それにもう遅いです。」
 秋雨はそう言うと自分の下着をおろし、シアンの陰茎を自分の陰唇に沿わせ、ぬぷりという音とともに素早く膣内へと挿入した。
「くぁ!!秋雨さんっ!?」
「んぅ!いいですよ……小さいけど、十分に私を突き上げてますっ…!」
 シアンの陰茎から出ているのか、秋雨の膣から出ているのか、すでに二人の結合部分はぬるぬるとした粘液で一杯だった。
「シアンの体もあっためてあげませんとね。」
 挿入した体制のまま、秋雨はシアンに覆いかぶさる。
「うぁ…秋雨さん……胸、あたってる……。」
「人の膣内に入っておいていまさらないですよ?それとも……欲しいんですか?」
 秋雨はシアンの頬に手を当て、唇を重ねた。秋雨は容赦なく舌をシアンの口内に入れ舐めまわす。
「んぅ……ん。はぅ……。」
「ご主人さまぁ……。」
 その間も秋雨は腰を動かし続けている。くちゅ、ぐちゅ、ぺたんぺたん。
「ぅぁ…秋雨さんのなか……温かい……。」
「っ!シアンも気持ちいいですよ!!」
「締め付けられてる……くぅ…うぁぁ!」
「もう出ちゃうんですか?いいですよ、中に出しても。」
 
 どくん。ごぷ。
 
 シアンが射精した後も秋雨は離れようとしない。
「秋雨……さん?」
「……まだ、大きいままですね。感じます。もう一回……やります?」
「う、……うん。」
「くすくす……。」
 ぬちゃり……秋雨はシアンの上を離れる。と、同時に秋雨の膣内から白濁した液体がとろりと垂れた。
「お口でしてあげますね……きれいにしないとだめですから。」
 そう言うと秋雨はまだ十分に屹立しているシアンを口に含んだ。
「――――っ!!」
「んんっ、おいしいれふよぉ?」
「はぅ!しゃべると……うぁぁ…。」
「かわいい……。」
 秋雨の舌はシアンの陰茎を弄び続ける。
「あぅぅ!あぅ!にゃあ!」
「んっ!」
 シアンは三度目の射精をした。それを一滴も残さずに秋雨は飲みほした。
「ぷぱぁ……おいしかったです。……さすがにもうふにゃふにゃですね。」
「もう……だめ……。」
 秋雨はシアンを抱きしめながら思った。
『このまま私のペットにしてしまおうかな。』
 だが、秋雨はシアンと交わる中でなんども「ご主人さま」という単語を聞いた。シアンの想い人なのだろう。
 自分は人の恋路は邪魔しないのをモットーにしているつもりだ(実際は秋雨のせいでひどい目にあっているカップルも少なくはない)。
「さ、雨も上がったみたいですから。そろそろおかえりなさい?」
「ぅ…あ?」
「もう足腰ががくがくですか?……しょうがないですねぇ。」
 秋雨は自分の服を着ながら、シアンにも服を着せていた。
「あなたも殊勝ものですよ。あなたの年で女性と交わるだなんて。くすくす……。」
「あぅ…?」
「お代は要りませんから。また暇ができたら来てくださいね。」
「うん。じゃあ……。秋雨さん。」
 からんころん。
「ふふ……。」
 
 雨の日には喫茶店に注意です。
 
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