そんなはなし。
 
「どういう意味でしょうか?」
 先輩は俺の問いに何も答えずに近づいてきた。
 放課後の美術室、夕暮れの西日が眩しい。俺から見ると先輩は逆光で陰にしか見えなかった。
「先輩。答えてください。」
 先輩は俺の目の前に立つと、俺の眼を見つめてきた。茶色い相貌には、明らかに動揺する俺が映っている。
「先輩…?」
 俺より頭半分低い位置から急に口づけされた。
「!?」
 思わず俺は後ずさりする。そのせいで入り口のドアに激しくぶつかった。
「何の冗談ですか!?悪ふざけも大概にしてください!!」
 口ではそう言ってはいるが、明らかに心の底で俺の煩悩は揺れ動いていた。
「言った通りだよ。ね?いいでしょ別に。」
 先輩は俺に近付いてくる。俺の中の理性と煩悩による戦いは激化している。
 先輩は自分のネクタイを外し、床に投げた。さらにブレザーのボタンを外し、それも床に投げた。
「……悪い冗談ですよね?俺帰ります。」
 ドアを開けようとするが開かなかった。
「無駄だよ。鍵かけちゃったからね。」
 先輩は俺に後ろから抱きついてきた。胸が背中に当たり何とも言えない感触を覚える。
「キミもこんなにドキドキしてるじゃない。わたしも…ほら。」
 俺の手を取り、先輩は自分の胸を触らせた。…柔らかくそして温かった。
「ね?だから――。ね?」
 顔が近い……先輩の吐息が直接俺にかかる。湿っぽく熱っぽかった。
先輩は何も言わずに俺の制服を脱がしにかかる。俺は……抵抗しなかった。いや、できなかったというべきか?なぜなら、先輩は今にも泣き出しそうな顔をしながら笑みも浮かべていたのだから。
「先輩……やっぱりだめですよ…こんなこと。」
 心にもないことを言ってみる。すると、俺のズボンにかけていた手が止まり、俺の顔をなでた。
「じゃあ…キミは私のこと嫌い…なの?」
 正直…俺は先輩に恋をしていたんだろう。
三年生が卒業して、美術部は俺と先輩の二人だけになった。二人きりの美術室で、俺と先輩はくだらないことを話し合った。笑い合った。ずっとこのままいられればいい…そう思った。
告白してこの関係がギクシャクするくらいなら、俺は「ただの後輩」のままでいたいと思った。
……こんな形で結ばれたくは、無かった。
 
先輩は自分の制服を脱ぎすて、俺に抱きついた。先輩の体温が皮膚から伝わる。もう一人の俺はすでに理性を失い、硬直していた。
「覚悟は決まった?いくよ…?」
 先輩は俺の下着を下した…もう一人の俺があらわとなった。
「先輩…やめましょうよ…?」
 先輩は俺の言葉を聞かずにもう一人の俺を口に含んだ。
「ん…あむぅ、んむ、んっ。」
 誰もいない美術室はすでに夜の帳に包まれていた。そして、そこには先輩の息遣いと妙な音だけがこだましている。
 先輩は久々に餌を与えられた犬のようにもう一人の俺にむしゃぶりついている。
「ん!むぅ!んふ!ぅっ!」
 先輩はもう一人の俺にむしゃぶりつきながらも自分の下着を脱いでいた。こんなところ先生に見つかったら…ただじゃ済まないだろう。そうすれば、俺はこの行為から解放されると同時にもう先輩に会えなくなるだろうな。
「ぷぁっ!」
 先輩は俺から口を離した…俺はもう限界まできていた。このあと先輩がなにをして、俺がどうなるかはわかりきっていることだった。
 
…………
「キミは、将来なにになりたいの?」
 スケッチブックを広げ、机のうえに置かれたブルータスをデッサンしながら先輩は俺に問いかけてきた。
「俺ですか?…う〜ん。」
 先輩は笑いながら手を止めた。
「ふふっ…無理にこたえなくてもいいよ。私は…やっぱり秘密。」
 先輩は下を向いてなにか呟いたらしかったが、聞き取れなかった。
「自分で言っておいてそれはないですよ!」
……そんな時間はもうこないかもしれない。
 
「ほら…みてよ。」
 先輩は自分の……を俺に開いて見せた。…赤く…熱くなっていた。
「ね?私、もう大変なの。」
 もう一人の俺の上に先輩は自分の……をかぶせた。暖かい…。
「あぁっ!!」
 先輩は俺の上にまたがった。先輩の……からは絶え間なく液体が流れ出ていて、動くたびにいやらしい音をたてた。
「せ…先輩っ!お、俺!」
 先輩は激しく上下に動いた。そのたびに美術室には反復音がひびく。
「あぁ!はっ!んんっ!」
 俺はこうなることを望んでいたのだろうか?確かに俺は先輩が好きだ。それは、男女とかそういう関係のあるなしによらず、時間が許す限り一緒にいたい……そういう感じの感情だ。
「あぁっ!すごい…!あたってるよぉ!!」
 先輩はなおも激しく動く、もう一人の俺はもはや時間を許さなかった。
 
………
「キミは好きな人いる?」
 ろくろに乗って回転しながら先輩は突然俺に聞いてきた。
「そう言うことはまじめな感じで聞いてほしいですね。」
 ろくろからぴょんととび下りると先輩は目を回してこけた。
「いたた…。」
「大丈夫ですか?」
 手を差し出し先輩を引っ張った。よく考えれば先輩に触ったのはこれが最初で最後かもしれない。
 その時の手の暖かさと今の俺が感じている暖かさは別のもののような気がする。
「好きな人ならいますよ?」
「誰?」
「先輩。」
 
 もう一人の俺は、白濁色の液体を先輩の体内へと解き放った。
「っああああ!」
 先輩はそのまましばらく放心していた。口からはよだれをたらし、セミロングの髪は乱れ切って、体は汗ばんでいた。その間に俺の中から解き放たれたものは先輩のなかから溢れてくる。
「ハァ…ハァ…。」
俺の上からどいた先輩の中からさらに液が垂れる。先輩は俺の隣に腰掛け、そのまま再び俺に口づけをした。
「私もね…キミが好きなんだ。」
 そのまま俺と先輩は美術室で一晩を明かした。
 
 俺は先輩と一緒にいられればなんだっていいさ…
 
そんなはなし。Fin
 
作者の走り書き……
なんていうか…すいません。エロは難しいです。これが限界です(鯖的にもワシのLV的にも)。わぁぁぁぁ!!!!!
 
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