五月病改善薬
 
 つまらない。なにもかもがつまらない。ほんとうにつまらない毎日だ。朝起きたら学校へ行って、役に立つかどうかわからない授業を聞いて、特に何もない家に帰ってきて、くだらないテレビを見て、変わり映えしないベッドで寝る。以後繰り返し。
 僕はこんなことをするために高校に入学したのだろうか?去年は本当につまらなかった。部活をしようにも運動部は地区大会どまりばかりだし、文化部もたかが知れているし、
同好会はもはやわけがわからない。やる価値はない。
 高校二年生に進級してもこの事実は変わらないだろう。僕は鬱々として毎日を過ごして
いる……そんな日々が続くのだろうか?
「はぁ…。」
 高校へと続く坂道を登りながらため息をついた。
クラス替え…はっきり言って、僕には友達がいない。必要性を感じたことがないし、な
んのために友情をはぐくむのかさっぱりわからない。つまりクラスが変わろうが、僕は相
変わらずってことさ。
 ともかく、新学年が始まったので集会が開かれた。くだらない話を諾諾と聞かされて、
うんざりする。
「離任式を始める。」
 …そういやそんなのもあったな。教師が違う学校にいったり新しくはいってきたりする
だけだろ?僕にとってはくだらない話をする人がどこをどうしようったってどうでもいい
話だ。僕は眠らせてもらおう。
 その後、僕は後ろのやつにつつかれるまで寝ていた。起きた時にはもう教室に戻る時間だった。
 まぁあとは特に語るべきこともない。
 
 次の日、今日から平常通りの授業だ。僕は寝かせてもらおう。
 一時間目……国語。授業を聞かなくても教科書を読めばテストは楽勝だ。今日から先生が変わるらしいが、ま、どうでもいい。
「きりーつ、れい、ちゃくせき。」
 入ってきたのは女性だった。クリーム色のスーツにタイトなスカート。背中まで伸ばした黒髪はつやつやしており、顔立ちも整っている。……要するに美人だ。
「おはようございます、みなさん。私が今日からみなさんに国語総合を教える…。」
 教師はチョークを持ち、黒板に自分の名前を書いた。さすがに国語の教師らしく字はきれいだった。
「根本 冬です。ふゆ先生ってよんでくださいね。」
 笑顔はまるで光源のように光り輝いていた。今までに抱いたことのない感情……恋?まさか…。
「まだ教師になってちょっとしかたってませんので、みなさんに迷惑かけるかも知れませんがそこのところは大目に見てくださいね。」
「せんせー!彼氏とかいるんですか?」
 僕の二つ前の男子が先生に質問を浴びせた。
「う〜ん。私は恋愛に関しては奥手だから、彼氏いない歴は年齢と同じです。」
「うっそだ〜。」
 クラス中からそのような感じの声が飛び交う。彼氏…いないのか。
「先生は何歳ですか?」
 女性に年を訪ねる時は絡め手で行くのが普通だと思う。
「んっとねぇ。27です。というかキミ!女性に年を尋ねるなんて失礼ですよ!」
 答えてるじゃないか。
「ま、いっか。授業をはじめますよ。はい教科書開いて〜。」
 
 冬先生の授業はとてもわかりやすかった。おまけに授業の途中に豆知識をはさむので、聞いていて楽しかった。国語の授業を最初から最後まで寝ないなんて久しぶりだった。
 僕の中に芽生えた感情もどんどん膨れ上がってきた。
 そんなこんなで夏休みも間近に迫ったある日のことだった。
 
 教室に課題を置き忘れ、取りにいった時だった。
 誰もいないだろうと思って教室のドアを開けた。
「わわ!びっくりしたぁ!」
 ドアの目の前には冬先生が立っていた。そう言えばうちのクラスの副担任でもあるんだった。
「先生…なにやってんですか?」
「キミこそ…わすれもの?」
 冬先生は僕と同じくらいの背の高さだ。ちょうど目線は同じ位置になる。僕の眼を見つめる先生はとても…。
「えぇ、ちょっと課題を取りに。」
「ふぅん。」
 教室の中にはいり自分の机から課題を取り出した。その間先生はドアの所に立っていた。
「ねぇ…岡本君は女の子と付き合ったことある?」
 唐突にそんな質問をするものだから僕は動揺した。
「なにをいきなり。ないですよ…」
「そぅ…。」
 冬先生とこのままおしゃべりをしていたかったが、誰もいない教室で二人きりというシチュエーションは何もやましいところがなくても勘違いされるだろう。速やかに帰るのが賢明だな。
 ドアから出ようとした瞬間、制服の裾をつかまれた。
「ねぇ岡本君。もっとおしゃべりしようよ?」
 僕の心臓はものすごく早く高鳴っている。
「キミは優秀だよね。この前のテストでも一位だったし。授業は真面目に聞いてくれているし。」
「いや…それほどでも。」
 先生は僕の肩に手を乗せた。先生の目は僕の目を見つめる。
 先生の目がどんどん近付く。唇に柔らかい感触。
「ん……っ。」
 僕には、なにが起こったかわからなかった。先生の顔がものすごく近くにあることだけがわかった。
「んっ……む、ん。」
 ようやくわかった。僕は口づけをされているのだ、憧れの冬先生に。甘い匂いが先生から漂う。その間にも先生の舌は僕の口中を動く。
「ぷはっ。」
 先生は長い口づけから離れる。もっとしていたい気分だ。
「どう?」
「どうって…」
 ものすごくよかったに決まっている。
「私じゃ不満?」
 先生はスーツのボタンを外し始めた。先生の顔は微笑みを浮かべている。僕は硬くなる。
「不満もなにも…僕は先生が好きですから。」
「私もね…キミを見たときからずっと気になっていたの。だから……。」
 教室の外では蝉が鳴いている。
「先生…いいんですか?こんなことして。」
「秘密にしてくれる?」
 そう言うと先生は僕に抱きついた。柔らかい…先生は着やせするタイプらしいな。僕も先生を抱きしめた。
 今度は僕から口づけをした。先生はとても嬉しそうな顔をしている。
 先生はそのまま僕にすべてを委ねた。先生の顔は恍惚としている。
 
 学校って楽しい場所だったんだな。
 
五月病改善薬fin
 
≪管理人の走り書き≫
ありがちな展開にありがちな設定ですいません。
テーマは「女教師」…まんまです。
ねおしのさんからのリクを完ぺきにこなしてないなと思って書きました。
管理人は五月病にかかってますから多めに見てやってください。
おもしろかった、続き読ませろ、エロいの書けと思った人は拍手をおしてくださると嬉しいです。
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